「嫌じゃないです!!!」
「へえ、蒼太といるときは楽しそうなのになあ」

「大人ですし、ちょっと大人だと緊張するっていうか……」


言ってしまった途端、自分の失言に気づいた私は謝ろうと思って、すぐ隣を見たけれど、「そっかあ、やっぱ大人はこわいよな!」って笑っていた。



ふたりでいるときの話題のほとんどは蒼太くんで、私は麗音さんのことはよく知らないし、麗音さんも私のことよく知らない。

それでも割と普通に話せるのは人柄が良すぎるからだろう。





「愛結ちゃんといる蒼太は楽しそうだし、ちょっと雰囲気変わったからうれしいなあ」



私は何もしてないよって思っていたけれど、私もすこし変わっていた。

どこにいても空気を読んで過ごしていたけれど、蒼太くんの隣にいるときは偽らない自分でいられるし、言いたいこと言えているから、心地良さを感じていた。