「ありがとう、綺麗……!保存していいの?」
「いいよ、その代わりお前のもちょうだい」



ひとつひとつ保存していると、私の写真をほしがる声が聞こえてきて驚く。だってこんなにも綺麗な写真が撮れるのだから私の写真をほしがる必要はまったくないと思う。

ピントがあった写真、世界を美しく収めた写真と違ってピントがズレた写真は人様にあげられるようなものではない。




「えー、私さっき撮ったやつしかないよ」
「いいよ、それほしい」

「下手だよ?笑うんでしょ?」
「笑わないって。お前が見た世界、俺にも見せてよ」




私が見た世界なんて、蒼太くんが見た世界に比べたら淀んで、モノクロで、ぜんぜん綺麗じゃない。何回か「えー」と言ったのだけれど、「はやくしろ」と言われて渋々送った。