「ヘッタクソ。でもいいんじゃね、消さなくて」
「どっち?下手だから消したいのに」
ゴミ箱ボタンを押して、最後のdeleteを押そうとしていた私の手を引っ張ってそう言った。写真は意外と容量取るし、たぶん見返すこともないし、ヘタクソなら残しておくだけ無駄だ。
どうせなら綺麗な写真をフォルダに残しておきたいというのが私の考えだけど、彼は違ったみたいだ。
「もったいねえから」
「もったいない?」
「世界って一瞬一瞬かたちを変えるんだよな、もう戻れないし、いまの景色はもう見られないんだよ、だからもったいない」
また彼の言葉が私の胸を射抜いて、え、と小さく声を出してしまったかもしれない。このときの私は彼が言いたいことすべてを理解していたわけではないだろう。
彼には私にはわからないもっと深い意味があった。
「どっち?下手だから消したいのに」
ゴミ箱ボタンを押して、最後のdeleteを押そうとしていた私の手を引っ張ってそう言った。写真は意外と容量取るし、たぶん見返すこともないし、ヘタクソなら残しておくだけ無駄だ。
どうせなら綺麗な写真をフォルダに残しておきたいというのが私の考えだけど、彼は違ったみたいだ。
「もったいねえから」
「もったいない?」
「世界って一瞬一瞬かたちを変えるんだよな、もう戻れないし、いまの景色はもう見られないんだよ、だからもったいない」
また彼の言葉が私の胸を射抜いて、え、と小さく声を出してしまったかもしれない。このときの私は彼が言いたいことすべてを理解していたわけではないだろう。
彼には私にはわからないもっと深い意味があった。



