俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

「うーん、たまたまかなあ」
「いいなー楽できて、愛結って苦労知らずだよね!!努力しなくてもなんでも手に入る人ってほんとにいるんだねー!」




何度も言われたことだから、もう気にしない、もう気にならない。何も思わないことはないけれど、気にするだけ無駄だと思って聞き流す。

そう自分に言い聞かせるしかないし、それしか自分を守る方法を知らない。





「愛結、最近あいつらノリ悪くない?私、なんかしたと思う?」


"あいつら"とはいつも一緒にいる子たち、こないだ咲優の悪口を言っていた子たち、そして周りから見れば私の友達でもある。まわりから見れば私と咲優だって、超仲良く見えるだろう。





「そんなことないと思うよ?」
「えー、そう?なんかうざくてさあ、ブスだし、頭悪いし、気持ち悪いし」



私が言われたわけでもないのに背筋が凍る。

こないだは咲優が悪口を言われていて、今日は咲優が悪口を言っていて、私は友達同士の罵りあいを傍観している。



私は否定も肯定もしないで曖昧に相槌を打つ。誰が一番最低なんだろうって、それは紛れもなく私だけど、私にはどうすることもできない。

否定すれば咲優が傷つくし、肯定すればあの子たちが傷つく。それが嫌で、両方にいい顔をしている私は最低で、誰がどう考えても有り得ないやつだ。