俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

「これ聞いても普通に接してくれるの?」
「それは、当たり前だろ」



頭に置かれていた手が上下左右に優しく動く。

それは私がいままで感じたことのないくらい優しいもので、また胸いっぱいに何かが広がって、いつもと違う"何か"が生まれる。

甘えたくないのに、温もりに身を委ねてしまっている自分がいて、片足だけじゃなくて両足突っ込もうとしている私がいた。






「いいよ、いつもは普段のお前でいれば。お前がいやすいように居ればいい」


固いガードで守っているのに、貫けると自負していたのに、この人の前だとそれができない。

驚く程に、自分でも理由がわからない程にいい意味で壊されてしまっていた。



蒼太くんは私がずっとほしかった言葉をくれたし、私がずっとかけてほしかった言葉をくれた。

大人の機嫌をとるだけのために動いていた自分に気がついてくれる人がいた。


私は自分の中にある"何か"を見つけることはできていないけれど、嫌な気持ちにならないのは確かだった。