俺の前では泣いてもいいよ。【修正中】

「少なくとも俺は、どうでもいいとか思ってないから」




シトラスの香りが一気にきて、優しい言葉が私の中に入ってきて身動きが取れなくなる。

心ではなく、身体が異常に反応している。




「俺の前では泣けばいいし、怒ればいいし、言いたいことがあるなら言えばいい。そういう気持ちを出せないなら、せめて笑うな」



彼の胸の中で顔を上げると、近くにある顔が今までにないほど歪んでいた気がした。

良かれと思っていたのに、良いと思って笑っていたのに、誰かを苦しませるなんてこのときの私は知る由もなかった。


このときの私はそんなこと考えたこともなかったし、自分を守ることで精一杯だった。