カンナとは 1時間も 話してないけど。
別れて 家に向かう俺は 酷く疲れていた。
早く 葉月に会いたい…
葉月を 安心させてあげたい…
電車の 吊り革に 体を預けて
俺は ぼんやり窓の外を 眺めた。
駅を出て 途中で ケーキのお土産を買って。
葉月が待つ アパートまで 歩く。
ドアを開けると 美味しそうな カレーの匂い。
「ただいま。」
俺の好きな カレーを作って
俺を 待っていた 葉月。
笑顔で 俺を迎える葉月を
俺は 思わず 抱き締めた。
「お疲れ様。奏斗…?」
「うん。カレー作ってくれたの?」
「そうだよ。今日は 特別に 人参 入れなかったからね。」
俺は 葉月の ささやかな思いやりが とても 嬉しくて…
「はい。お土産。」
ケーキの箱を 葉月に差し出すと
笑顔で 受け取った葉月は
そっと俺の胸に 抱き付いてきた。
「んっ?どうしたの?葉月。何か すごく 可愛いんですけど…」
俺の背中に 腕を回す 葉月が 愛しくて。



