センチメンタル・ジャーニー Ⅱ ~俺が本当に守りたい人


「カンナと付き合ってた時 俺達 18才だったよね。もう 10年も経つんだよ。あの頃 自分が 28才になるなんて 考えたこと なかったよね。ずっと先だと 思っていたから。でも あっという間だったね… 10年なんて。」


高校生の頃を 思い出しているのか。

カンナの表情が 少し 柔らかくなった。


「この先の 10年は きっと もっと早く 過ぎるよ。」

「怖い事 言わないでよ。」

俺の言葉に カンナは 苦笑した。


「毎日 一生懸命 生きなくちゃなぁ。過ぎた時間は 取り戻せないけど。今は 自分で 決められるからさ。」

「カッコいいこと 言っちゃって。」

「本当だね。口では なんとでも 言えるけど。実際は 毎日 後悔だらけだよ。俺も。」

「奏斗 なんか 変わったね。」

「そうかな… 年取ったんじゃない?」

「奏斗って いつも 何かに 追われているような… 何かから 逃げるみたいな 雰囲気だったけど。今日は そういう感じ しないね。」


カンナと会っている時 俺は カンナから 逃げていた。

それを 感じていながら 俺を呼んでいた カンナ。


「これからは 家族の為に 前を向かないと いけないからね。カンナも 幸せになれよ。」


カンナが 俺の気持ちを 

どれだけ 理解してくれたか。


俺を 逆恨みして 嫌がらせを しないか。

また 心を病んでしまわないか。


絶対に 大丈夫とは 言えないけど。


俺は カンナを 信じることにした。

でないと この10年の 俺の苦しみは 報われない。


それに この先 カンナが 俺を 攻撃しても

俺は 1人じゃないから…


一緒に 立ち向かってくれる 葉月がいるから。