「そんなことない。わたし、ここに来てからの方がずっと楽しい。自然に触れていられると、すごくリラックスできるの。それに──」


「あれっ、花凪ちゃんと水城。早いね!」


水城くんと出会えたし。


そう言いかけた時、わたしも上ってきた階段の方から笠岡さんの声が飛んできた。


今、変なこと言おうとしなかった?


笠岡さんが来てくれなかったら、ものすごく恥ずかしいことを言ってしまっていた気がする。


いやいや、変な意味なんてない。


水城くんという友達ができなかったら、笠岡さんや櫛宮くんとも仲良くなれなかったもん。


ただ、それだけのこと。


きっと……それだけ。