「水城くん」


彼の名前を呼んだ時、波に触れるギリギリの場所にに小さな貝がらを見つけた。


淡いピンク色の、小さな貝がら。


波にさらわれそうなのに、貝はなかなか動かない。


「ん?」


水城くんが返事をしたけど、こちらを見る様子はなかったのでわたしも貝がらを見つめながら言った。


「相談してもいいかな」


「もちろん」


その声があまりにも優しくて、波に優しく包まれたみたいな感覚になる。


それに押されて、わたしは小さな声で話し始めた。