水城くんの言う通り、わたしの思考が足りてなかった。


わたしはやっと気づけたことを大会の後すぐに謝ろうと決めた。


そして水城くんに目をやると──、彼はなんだか調子が悪そうだった。


嘘。さっきまで調子がよかったのに。


相手の選手はかなり調子がいいみたいで、点数はどんどん追い上げられている。


｢どうしたんだ千尋！　あと少しだ。ふんばれ！｣

｢水城ーっ！　頑張れー！｣


友達やいつの間にか近くにいた水城くんのお父さんを始め、いろんな人が水城くんを応援していた。


みんなが応援しているのに、わたしは全然応援できていなかったことに気づいた。


残り時間はあとわずか。


点数はとっくに逆転されているけど、最後に1つ大技を決めればまた逆転できる可能性はある。