智也の死を受け入れようとせずに、ずっと抜け殻になっていた自分が恥ずかしかった。


その時初めて涙が溢れて、止まらなかった。


やっと、智也が死んだことを受け入れたんだ。


「ごめん……」


それから、またサーフィンを始めた。


ブランクがあったから実力は落ちていたけど、それでも智也の分まで練習して、大会で優勝できるくらいまで実力をつけた。


あの時、もし瑠璃がいなかったらどうだったんだろう。


今でも智也の死を受け入れられなかったかもしれない。


サーフィンはやめていたかもしれない。


瑠璃には感謝しかないよ。


智也、俺、ちゃんと頑張るよ。


海から見てろよ。


俺がやっと希望を持った数日後、瑠璃は遠くに引っ越していった。


何も言わないまま、短い手紙だけを残して。