「だっ、誰よ!」


え……?


わたしはぎゅっと瞑っていた目を開けて、目の前の光景に驚いた。


わたしの前で浅野さんの腕を掴む後ろ姿には見覚えがある。


わたしがいつも見つめていた大好きな背中。


「水城、くん……?」


なんで……?


なんで、水城くんがここにいるの?


さっき、練習してたのに。


水城くんの髪やウエットスーツは濡れていて、息も上がっている。


後ろ姿だけで水城くんが怒っているのが分かった。


「ちょっと、話してよ!」


「お前だろ。花凪のこといじめてたの」


「人聞き悪いこと言わないでよ。ちょっと花凪と遊んでただけじゃない! それなのに花凪が勝手に逃げるからわたしち大変だったんだからね!」