「ふふっこの三連休に日帰り旅行しに来てたの。でもまさかここにあんたがいたとはね」


わたしの座ったいた岩の上に登りながらそう言って、わたしの隣に無理やり座った。


あの時と同じ黒い笑みを漏らしながら。


わたしは、どこに行っても浅野さんから逃げられないことに絶望した。


嫌……。嫌だ……!


ニヤリと笑った浅野さんの顔を見て、置いてきたはずの恐怖が一気に蘇る。


──怖い。


思わず岩を降りて後ずさりすると、浅野さんはその笑顔のままで倍の速さで近づいてきた。


あの時の記憶が、鮮明に思い出された。


──バシッ!

『きゃっ!』


『花凪がいけないんだからね! なに勝手に逃げようとしてるの!』


『花凪なんかいなくなればいいのに』