泣き続けてどのくらいだったのだろう。


「どうしたの?」


頭上から降ってきたのは、わたしの大好きなあの声だった。


水城くん。


あなたはどうしていつも……わたしが辛い時に来てくれるの?


こんな時ですら、わたしは水城くんが現れたことに嬉しいと感じてしまっている。


“わたしが関わって迷惑だったの?”


泣き腫らしたわたしの目を見て心配そうな水城くんにそう聞こうとして、口をつぐんだ。


『次千尋と関わったら許さないからね』


瑠璃さんの言葉を思い出して、わたしは水城くんの顔を見ることもなくそこを走り去った。


「えっ、織原さん!? ちょっと待ってよ!」


水城くん、逃げてばかりでごめんね。


もうあなたとは、話すことなんてできないよ。


かわいそうだからなんて理由でわたしに話しかけていただなんて思いもしなかった。


水城くんに迷惑をかけないように、もう水城くんとは関わらないから。


その日から、わたしは水城くんを避けて過ごすようになった。


それに比例して、水城くんはわたしに話しかけてくれることがだんだん減っていった。


これで、よかったんだ──。