花野くんの溺愛は密室で。

「拗ねてるの?」


まだ顔をぜんぜん見ていないのに、どうしてわかってしまうのだろう。意地悪な笑みが消えて、優しい声をかけるから私の口は開いてしまうのに。




「今日花野くん朝告白されてた……」




優しい声に甘えてしまって、言うつもりはなかったのに口にしてしまった。

朝たまたま目撃して、仕方のないことだと思ったけれど、ちょっとショックで。自分がこんなにも嫉妬深いなんて思ってもみなかったから余計にショックだった。



彼は一度考える素振りを見せたあとに「あーされたかも」と答えていた。私は朝からモヤモヤを抱えていたのに、びっくりするくらいケロッとしていたことに驚きだ。



「ヤキモチってやつ?」
「そういうわけじゃないけど……おっけいされたらどうしようって思って」

「え?笑わせたいの?」
「……え?」




花野くんが私のほっぺを両手で押えて顔を近づけてきて、視界が塞がれた。

一瞬何が起こったかわからなかったけれど、少しずつ状況を理解した。唇を重ねられたということに。