花野くんの溺愛は密室で。

「彼女がいるのにおっけいするわけないでしょ」
「……うん」

「だから今日やけに甘えんぼうなんだ」
「っ」



バレた。下を向いてもくっついているからドキドキは届いているんだろうな、と思うだけで恥ずかしくて、言わなければよかったと後悔する。

それでも言ってしまうのは私が彼を心から信頼している証拠だろう。




「俺が見せてる顔は本当の顔じゃないし」
「でもいまの花野くんだってかっこいいもん……。それに比べて私はぜんぜんだめだし、かわいい女の子はいっぱいいるし……」



「それは聞きたくない」と花野くんがすこし低い声で言って、花野くんは私の顎をグイッとして私と目線を合わせた。

至近距離で、さっきよりも真剣な眼差しで見つめられて思わず視線を逸らしたくなる。