だから私は“三笠友理奈”として黒崎家にお世話になっていく。



いつかちゃんと独り立ちするから。



どれだけ返せるか分からないけど、数えきれないほどもらった恩を返したい。



まだ高校生になったばかりだけど。



もっと大人になったら、どんな形かで返せるように今から頑張らないと。



「....友理奈?」



過去のことに想いをふけっていると、誰かが私を呼んだ。



「...えっ、何?」



「ボーっとしてどうかしたか?さっきから無反応で」



「ごめんね。黒崎家に引き取られた時のことを思い出してたの」



「.....あの日のこと?」



「...うん。冬夜くんが大人達の前で宣言してくれた時のこと」



あの日は一生忘れることはできない。