当時の私は知らなかった、彼が誰か、なんて。



だって会ったこともない男の子だったから。



声を上げてくれたのは当時、12歳の黒崎冬夜くんだった。



背もそんなに高くないのに大人に勝らない圧倒的なオーラに魅了された。



この人に着いていけば間違いないと直感でそう思ったんだ。



黒い悲しみが広がる中で圧倒的な黒“漆黒”のオーラを放つ彼。



「冬夜、先走るのはやめなさい。引き取るのはあなたじゃなくて私達なんだから」



私が施設に引き取られそうになった時に手を差し伸べてくれたのは、黒崎家の皆さんだった。



両親のお葬式に来ていた3人だったんだ。



周りにいた大人たち含め、全員が驚いたはず。



あの黒崎社長の家族がいらっしゃるんだから。