「事件の被害者も加害者も、もうこの世にはいないんです。残っているのは家族だけです」
いきなり命を奪われて残されたのは家族だけ。
私は両親を亡くし、2人は息子を亡くした。
加害者と被害者の隔たりがあるだけで、大切な人を亡くした悲しみは一緒だと思う。
「私だって両親がいきなり死んで受けとめきれていません。これからどう生きていけばいいのかも分からない」
小学生の私にできることなどたかが知れている。
誰かに養ってもらわなければ生きることすらできない。
「犯人を責めたくても生きていない。この逃れようのない苦しみをどう対処すればいいのか分かりません」
誰にもぶつけられないこの負の感情に飲み込まれそうになったことはあの日から何度もあった。
小学生の私には受けとめきれないほど大きなものだったから。



