「冬夜くん...」



「何?」



「手を....繋ぎたいです」



勇気を出して1つめのワガママを言ってみた。



最寄り駅までになるかもしれないけど、手を繋ぎたい。



「....分かりました」



冬夜くんはさっと手を繋いでくれた。



ずっとほしかった冬夜くんの温もりが右手を通して感じられる。



「.....温かい」



冬夜くんの体温が私に伝わってきて、私の体温が冬夜くんに伝わっていく。



手を繋ぐって簡単そうに見えるけど、難しくてドキドキする行為。



私の気持ちが伝わってしまうんじゃないかとドキドキする。



ただ手を繋ぐだけで周りが見えなくなるくらいに幸せなんだ。



このドキドキする気持ちこそ何より幸せ。