そんな話をして、私たちは一緒に空き教室を出た。


「あ、あやちゃーん!」


出た瞬間、廊下の向こう側から大きな声で呼ばれて、声する方に目を向けると、こちらに向かってちさちゃんが走ってきていた。


「うわ、俺あの子苦手」

「…慧が苦手って珍しいよね」

「んー…、まぁ
つっちーが苦手な理由知りたくて、知ってくうちに苦手になったんだよね」

「……そっかぁ」


一樹が苦手な理由を知りたくて、知ってくうちに慧も苦手に…って
いったいなにがあるんだろう…

確かに一樹の話を聞くと驚く部分もあるけど、でも好きで必死だったのかもしれないし…


「ま、綾那ちゃんの友だちだから毛嫌いはしないけどね」


慧はそういうと、ちさちゃんが着く頃にはいつも通りの笑顔を作ってちさちゃんを迎い入れていた。


「あやちゃんおはよ!」

「あ、おはよっ」


何度話しかけられても、ちさちゃんの笑顔は昔と変わらなくて、…というか、昔よりも可愛くなって、私の顔も自然と笑顔になる。
一樹や慧がそこまで言うんだから、きっとよくない面もあるんだろうけど

…でも、友だちなんだもん。


「今日一緒に帰ろっ!」

「あ、うん。いいよ!」

「よかったー。じゃあ今日の帰り、教室まで行くねっ」

「ん、わかったー」


ちさちゃんはそういうとまた走って行って、教室へと入っていった。
今時の可愛いJKが廊下を走るって、なかなか見ることないよね。
あの無邪気さ、可愛すぎだ。