一瞬、理解できなかった。
…でも、唇に感じる一樹の熱で

パッと、体を起こした。


「……キス、した…?」


誰かと勘違いしたのか
私とわかってしたのか
無意識に掴んだ腕を引き寄せたらぶつかってしまっただけなのか

…わけが、わかんないけど


「……綾那…?」


私の名前を呼びながら、目を開けた一樹の目を見たら
私の顔はぼわっと一気に熱くなった。


「か、帰るね!」


それだけいって、私は立ち上がって部屋を出た。


「……キス、しちゃった」


その熱が冷めなくて
はっきり覚えてるその感覚が、私の心臓をバクバクさせた。