「大学が 別々になってから カンナの束縛は エスカレートして。決まった時間に 連絡するように 命令されて。遅れたり 忘れたりすると 狂ったみたいに 怒るようになって。俺は カンナを 避けるようになるし。そうすると カンナは もっと不安定になるし。俺 もう駄目だって思った。カンナのこと 好きだって 思えなくなっていたし。それで 別れようって言ったんだ。夏休みに入る前だったから。1年も 続かなかったんだ。」

「カンナさん 納得したの?」

「うん。プライドが高いから。追うとか できないんだろうなぁ。フラれたことも 認めたくなかったんじゃないかな。でも その後 カンナ 拒食症みたいになっていて。少し経って バッタリ会った時 俺 驚いたんだ。病的に痩せていて。別人みたいだった。」

「えーっ?」

「カンナの両親って 子供の頃 離婚してて。カンナは お母さんと2人で 暮らしていたんだけど。カンナが 大学に入った時 お母さん 再婚したんだ。それで カンナは 1人暮らし するようになっていて。そんなことも 重なったのかな…」

「それで 奏斗 どうしたの?」

「どうしたもなにも…俺 怖くなっちゃって。もう一度 付き合うことは 絶対 無理だったけど。でも 放っておいて 何かあっても 困るし。カンナに  ” 何か 困った時は 相談に乗るから ” って 言って。カンナのお母さんに 連絡したんだ。カンナのお母さんも すごく驚ていて。しばらく お母さんの所に 戻っていたらしい。」

「そんなことが あったんだ…」


「それ以来 時々 カンナから 連絡がくるようになったけど。どうしても 拒否できなくて。カンナ 外見は 可愛いから 彼氏できるんだけど。長く 続かないんだ。あの性格じゃ みんな 逃げ出しちゃうよ… 彼氏と 上手くいってるときは いいんだけど。別れると 俺に 電話して来るんだ。」


「奏斗 辛かったね…」


私が ポツリと 言った言葉で


「葉月…」

と言って 奏斗は 声を上げて 泣き出した。

俯いて 膝の間に 顔を伏せて しゃくり上げる奏斗。


呆れちゃうけど… 

私は 奏斗の弱さを 愛おしいと思った。