「俺が カンナと付き合ったのは 高3の 夏休みだった。俺 野球部だったんだけど。地区予選で負けて。引退が決まった時に カンナに告白されたんだ。俺 一応エースで 案外 人気あったから…カンナも 可愛くて 男子に人気があったし。俺 有頂天だった。それまで 野球に夢中だったから。彼女もいなかったし。」

奏斗は 私から 目を逸らさずに話す。

私も 真っ直ぐ 奏斗を見つめて 

頷いたり 相槌をうちながら 聞いた。


「最初は 上手くいっていたんだ。カンナの束縛が 強いことは 感じていたけど。彼女って 初めてだったから。こんなもんかって 自分を納得させていた。カンナは 俺が 他の女子と 話すことを すごく嫌がって。でも 高校生だから 普通に 話すだろ?そうすると 泣いたり 怒鳴られたり。」

「……」

「それでも 俺は カンナが好きだったから。なるべく カンナを怒らせないように 気をつけて。高校生の時は それで 大丈夫だったんだ。毎日 俺のこと 見てるわけだし。周りも 俺とカンナのこと 知ってるから。邪魔する奴も いなかったし。」


奏斗の話しを 聞きながら 

私は カンナさんを 思い浮かべていた。


十分 可愛くて 男性に モテるはずなのに。

何故か 幸せを 掴めない人っている…