記憶シュレッダー

しまった。


色々あって時間のことなんて忘れていた。


どう言い訳をしようか考えていた時、更に質問された。


『なんか、声もおかしくないか? 泣いてるのか?』


「え……」


すぐにバレてしまうなんて思っていなくて、驚く。


『本当にどうしたんだよ? なにがあった?』


心配そうな浩太の声。


浩太にはどんな嘘をついてもすぐに見抜かれてしまいそうだ。


それに、このまま電話を切るのも嫌だった。


もう少しだけ浩太の声を聞いていたかった。


「実はね……」


あたしは浩太に、帰りにあった出来事をすべて説明したのだった……。