「由香里、あのシュレッダーを使った記憶は残ってる?」


蒔絵の問いかけに由香里は左右に首をふる。


「嘘、使ったことも忘れてるの?」


あたしは驚いて聞いた。


「うん。気がついたらあのシュレッダーの前にいた」


「ほら! シュレッダーを使ったことも含めて忘れてるんだから、敦子が使ってても覚えてないってことだよ!」


「そ、そんな……」


一抹の不安がよぎったとき、シュレッダーに対して違和感があったのを思い出した。


記憶にかけられたフィルター。


今思い出そうとしても、やっぱり難しそうだ。


でもそれはあたしがシュレッダーを使ったという過去があり、それごと忘れてしまっているからなのかもしれない。


そう思うと途端に怖くなってしまった。


全身にゾワリと鳥肌が立つ。