記憶シュレッダー

☆☆☆

それからあたしと蒔絵の2人は由香里に色々な質問をした。


本当に好きな人はいないのか。


田丸君に振られたことは覚えていないのか。


由香里はそのどれもに「わからない」「なんのこと?」と、返事をした。


さっきまであまりお菓子も食べていなかったのに、シュレッダーを使ってからはどんどんお菓子を口に運んでいる。


とても、さっきまでと同じ由香里だとは思えなかった。


「なんか、わかったかも」


しばらくしてから蒔絵が真剣な口調で言った。


「わかったって、なにが?」


「ほら、敦子だって希望校の判定がAだったって言ってたじゃん? でもあれ、敦子の第一希望の学校じゃなかったんだよ」


「またその話?」


あたしは眉を寄せて蒔絵を見る。