記憶シュレッダー

祖父が仕事で使っていたものだろう。


それを見た瞬間今度こそ安堵した。


シュレッダーがしゃべるわけもないし、きっとあたしたちの勘違いだったんだ。


そう、思ったのに……。


「嫌なことはぜ~んぶ忘れちゃえばいいんだよ!」


さっきと同じ声が、確かにシュレッダーから聞こえてきたのだ。


あたしは思わず悲鳴をあげて尻もちをついていた。


蒔絵と由香里の2人は驚いて目を丸くしている。


「あ…‥あたし、前にもこのシュレッダーを使ったかもしれない」


フィルターのかかった記憶が少しだけ蘇る。


でも、いつ、どうして使ったのかよくわからなかった。


「なんだかすごくシュレッダーだね。どうしてこんなに魅力的なんだろう」


由香里がうっとりとした口調で言う。