記憶シュレッダー

祖父が入院してから一人ぼっちなのが寂しいと感じるようになった家だけど、今日は友達が2人もいる。


それだけでワクワクした気分になった。


「それで? 相手はどんな人だったの?」


リビングのテーブルにお菓子を広げ、学校での話題をひとしきりした後、蒔絵がそう切り出した。


あたしは口の中にあったポテトチップスを飲み込んで由香里へ視線を向ける。


「うん……。塾に行き始めてから出会った人なんだけど、すごく優しかったの」


由香里は話ながらまた目に涙を浮かべている。


「席が隣になった日は、わからない問題を教えてくれたし、他にもどうでもいいような会話も沢山したの。あたしの中では、結構仲良くなってたんだけどね……」


「そうなんだ……」


あたしはティッシュを由香里に差し出した。


「でも、彼は友達止まりだったみたい」


そう言って鼻をすする。