記憶シュレッダー

ずっと集中していたせいか、眠気はまだ訪れない。


あたしはキッチンでコーヒーを作り、ブラックでそのまま飲みほした。


これで朝まで頑張れそうだ。


10分間ほどテレビを見て気分転換をして、また自室へ戻ろうとした時だった。


「嫌なことはぜ~んぶ忘れちゃえばいいんだよ!」


いつか聞いた、あの声が聞こえてきたのだ。


あたしは廊下の真ん中で立ちどまり、振り向いた。


その先には祖父の部屋のドアがある。


さっき聞こえてきた声は間違いなくその部屋から聞こえてきた。


あたしはしばしその場に立ちつくしたが、思い切って部屋のドアを開けることにした。


この前だってなにもなかったし、今回だってなにもないに決まっている。


ただ、空耳とは思えないから、お祖父ちゃんが声の出る人形でもどこかに隠しているのだろう。