祖父が仕事で使っていたのか、随分の年季の入ったものだ。


「なんだ、シュレッダーか」


あたしはホッとして笑みをこぼした。


布の下になにがあると思っていたのか、自分で自分がおかしくなった。


きっと、祖父がこの部屋には入るなと散々言ってきたからだろう。


だからなにか変なものや怖いものが置いてあるものだと、勝手に思い込んでしまったのだ。


「でも、変なシュレッダーだなぁ」


形状はどこにでもある普通のシュレッダーだが、そこから醸し出される雰囲気が普通のものとは違った。


なんというか、シュレッダー事態が生きているかのような雰囲気があるのだ。


ジッとみているとつい引き寄せられてしまい、使ってみたくなる。


「年代物だからかな……」


祖父が長年愛用していた道具だからかもしれない。


あたしは引き寄せられるがままに右手を伸ばす。


シュレッダーに触れそうになった瞬間、アラームが鳴り響いてハッと我に返った。


「いけない! 伯母さんが迎えに来てくれる時間だ!」


あたしは慌てて旅行鞄を持ち、玄関へと走ったのだった。