記憶シュレッダー

骨にぶち当たった時はさすがに苦労したけれど、それ以外は想像以上に簡単な作業だった。


気がつけば女の子はグッタリとしていて動かなくなっていた。


一瞬死んでしまったかと思ったが、口元に顔を近づけてみると息はしていた。


あたしは女の子の腕をバッグに入れると、1人で多目的トイレを出たのだった。


トイレの外はすでに暗くなっていて、女の子と一緒にいた2人の子供の姿も見えなくなっていた。


きっともう帰ってしまったのだろう。


いつまでも女の子が探しに来ないから、女の子の方が先に帰ったと考えたかもしれない。


それはそれで好都合だった。


あたしはずっしりと重たくなったバッグを下げて、鼻歌交じりに家へと向かったのだった。