「これ、本当にただのシュレッダーか?」


「さぁ……? ただな、これを持ってきたヤツは随分怯えていたよ」


「怯えていた?」


「あぁ。『何度捨てても戻ってくる』だの『記憶が消える』だの、よくわからないことばっかり言ってさ、俺が査定している間にそいつを置いて帰って行っちまったんだよ」


店主は困ったように顎をかいて言う。


ワシは店主の言葉を聞きながらも、ジッとシュレッダーを見つめていた。


どうしてこの機械にここまで自分が惹かれているのか、全く理解できない。


その時だった。


「嫌なことはぜ~んぶ忘れちゃえばいいんだよ!」


子供の声が聞こえてきて、ワシは店内を見回した。


しかし、子供の姿はどこにもない。


「な? 面白いだろ?」


見ると、店主がニヤついた笑みをこちらへ向けていた。