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「あのシュレッダーは、確かに魅入られるものがあるよね」


リビングに移動してきてひとまず落ち着いたとき、蒔絵がポツリと呟いた。


「蒔絵も、そう思う?」


「うん。1度使うと何度も使いたくなるんだと思う」


その言葉にあたしは床に横になっている由香里へ視線を向けた。


シュレッダーから無理やり引き離された由香里は呆然としてしまったのだ。


「そんなこと言わないでよ。あたしはもう2度も使っちゃってるんだから……」


あたしは自分の体を抱きしめた。


あんなおかしな機械を2度も使ってしまったなんて、自分でも信じられなかった。


記憶もなくなっているから、自分が使ったという事実を否定したくて仕方なかった。


でも、事実をしっかりと見つめないと解決には至らない。


「由香里が正気に戻ったら、敦子のお祖父ちゃんに会いに行こう」


「そうだね」


もう、それしか方法はない。


あたしはそう思ったのだった。