記憶シュレッダー

「そんなワケないじゃん! お小遣いが全部なくなってたら、さすがに落ち込むでしょ!」


そう言って大きな声で笑っている。


あたしと蒔絵は目を見かわせた。


由香里にこんな演技ができるとも思えない。


本気で忘れてしまったみたいだ。


「なぁんかすっごく気分がいいの! なんでだろう?」


由香里はジッとシュレッダーを見つめて言う。


その目はギラギラと輝き、欲望がむき出しになっているように見えて背筋が寒くなった。


すると次の瞬間、由香里はノートを取り出して嫌な出来事を次々と書きだし始めたのだ。


近所のオバサンに蔭口を言われた。


親に小言を言われた。


飼い犬に手を噛まれた。