記憶シュレッダー

アレは浩太が粗大ゴミに出してくれたはずだ。


回収されるのは明日の朝になるけれど、それでも家の中にあるはずがないのだ。


心臓が早鐘を打ち始める。


あたしは嫌な気持ちを押し込めて祖父の部屋へと向かった。


ジリジリと迫ってくるように見える祖父の部屋が、これほどまで恐ろしいと感じたことは今までなかった。


ドアノブに手をかけ、ゆっくりと開く。


月明かりが入ってくる祖父の部屋は思っていたよりも明るかった。


あたしはゴクリと唾を飲み込んで部屋の中へと足を踏み入れた。


そして、もともとシュレッダーのあった場所へ向かう。


その瞬間大きく息を飲んでいた。


そこにあるはずのないものがある。


捨てたはずのシュレッダーが、汚れた布をかけられた状態で置かれていたのだ。


「なんで……」


その問いかけに返事をするように「嫌なことはぜ~んぶ忘れちゃえばいいんだよ!」


と、シュレッダーが言ったのだった。