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「うん。それでね、あたしが襲われそうになったって浩太が言うんだけど――うん――え? あたし本当に伯母さんの家に行ったの?――そんな。あたし覚えてない!――うん。そっか、ショックだから忘れちゃったのかな……」


伯母さんからの電話を切っても、あたしはしばらく何も言えなかった。


伯母さんの話によると、あたしは今日の帰りに刃物を持った男に追いかけられ、伯母さんの家に逃げ込んだらしい。


そこで警察に連絡してもらったというのだ。


「思い出さないのか?」


浩太の言葉にあたしは頷く。


「伯母さんはショックを受けたせいで記憶が曖昧になってるんじゃないかって言ってる」


「そっか……。でも、最近の敦子は少しおかしいぞ?」


「え?」


あたしは驚いて浩太を見る。


「この前の試験結果だって、A判定だって言ってたけど……」


「あぁ……」