「本当に覚えてないのか?」


「うん。あたし、今日は確かに帰るのが遅くなったけど、真っすぐ家に戻ってきたよ?」


その後、なぜだか祖父の部屋でボーっと座り込んでいたけれど、それ以外に変わったことは特になかったはずだ。


「嘘だろ。伯母さんの家に逃げ込んだって、敦子が言ったんだぞ?」


「あたしが?」


あたしは眉を寄せて聞き返す。


浩太になにを言われても、なにも思い出すことができない。


「ちょっと待ってね。伯母さんに連絡して聞いてみるから」


あたしは半信半疑のまま、伯母さんに電話を入れたのだった。