「はい。優さんの愛娘ですし。それに、メアリさんが他に男作ってフィリピンに帰っちゃったもので。寂しい思いをさせないよう、橘社長はなずなを気にかけていましたよ。常に」

「………」

母親、男作って出ていったのか…。



しかし、親父がなずなと食事?

そんな時から親父はなずなを気にかけていたのか。

当時は全然知る由もなかったな…。




「…しかし、その当時。前にも話したその『半人半魔』の件が横行している時期だった」



半人半魔…。



そのワードを耳にして、思わず息を飲む。



元々人間だった、魔族。

正確に言えば、半分人間で半分魔族。

魔族と取り引きを行って、魔族同等の力を手に入れた者。

人間側は自分の体の一部を差し出して、代わりに魔族から力…魔族の心臓ともいえる『核』の一部をもらう。

そうすると、魔力を使える人間ベースの魔族が出来上がる。

…と、いう、お話。



「この魔族との取り引きって、必ずしも成功するわけじゃないんだ」

「え…成功、失敗あるんですか?」