ぜんぶ、しらないふり。







横から にゅっと顔を出した日野くんが言った。

ビクッと大きく肩を揺らし振り返ると、日野くんは小さく笑って「そんな驚かないで」という。

…いや、驚くからね、普通に。



気配を消すのがうますぎると思う。
物音一つしなかった。

こわすぎる。心臓に悪い。




「ご、ごめんなさい」

「冗談」



日野くんがそう言って座った。

プリントが重なっていた机とは別の、6人掛けの広い席だ。生徒会室の広さは教室と同じくらいだけど、人数分の机や椅子がない分広く感じられた。

日野くんに釣られるように、彼の向かいの席に座る。




「文化祭、生徒会は前日までが大変だけど、当日はちゃんと楽しめるから安心しなよ」

「え」

「八樹まだ来ないけど…先に始めよっか」