ぜんぶ、しらないふり。







「涼風さんが考えてることはだいたいわかるよ」



そう言ったのは日野くんだった。「え?」と声を零す私に、彼は言葉を続ける。




「平和に暮らしたいよね、涼風さんも」

「え」

「生徒会がメンバーに女子を入れないのは顔目当てなのが見え見えで嫌だってのもあるんだけど、仮に誰か特定の女子を入れたとして、その子に嫉妬からくる嫌がらせが行くのも嫌だって思ってたんだ。今までは、ね」




日野くんたちも理解していたみたいだ。

前例があったわけではなさそうだけど、言い方からして過去に似たようなことがあったようにも感じられる。イケメンならではの悩みだなぁ…。



「けど、今回は状況が状況っていうか。…涼風さんと八樹が一緒に住んでるって、同じ家に帰るわけだし、いつどこで見られてるかわかんないから」

「あ…」

「そしたらいっそ生徒会に入って、とことん俺らと一緒に居る時間増やした方が嫌がらせとかにも気づきやすいかと思って」



「あと普通に人手が欲しいのも正直ある」と付け加えた日野くんは机の上に広がる資料を横目で見て眉を下げた。