ぜんぶ、しらないふり。






私はいったい、何をこんなに饒舌に話す必要があったのだろう。



日野くんが自分と同じタイプだって分かったから?

片岡くんがクズであることをしっている貴重な人間だから?

自分がされたことが“特別”ではなかったと自覚したかったから?



理由はもう何でもいい。
何にせよ、もう手遅れだ。




「悪口言うほど俺に興味があるってことでいい?」

「…違います」

「佳都ちゃんはツンデレだって認識してもいい?」

「…やめて。…、ていうか離してよ、苦しい」

「やだね。このまま首絞めてもいい?そしたら泣く?」

「、っ泣く前に死ぬから!」




そういえば、彼───片岡くんは、「しょうがないなー」と言って力を緩めてくれた。

とはいえ離れてはくれず、肩をひじ置きにされている。


それにしても、いつからいたのだろう。

日野くんが返事を曖昧にしたあたりからいたとしたら、私の饒舌な悪口はぜんぶ聞かれていたことになる。



…終わった、最悪だ。