ぜんぶ、しらないふり。







「失礼しまー…す」



───迎えたお昼休み。


初めてここーー生徒会室に来た時よりは、廊下には人影があった。

昼休みだからだろう、図書館を利用する人もいれば、音楽室や美術室を行き来する文化部の姿も見える。


ノックをし、恐る恐るドアを開けて中に入る。



「…あ」



視線の先。

そう声を零したのは、副会長の日野 響くんだった。




「八樹ならまだ来てないよ」

「…そうみたいですね」

「ま、適当に座んなよ」



日野くんはなにか作業をしていたみたいで、机の上には冊子やプリントが広がっている。

机の端に置いてあったブラックコーヒーの缶に目が行き、なんだか学生というより社会人みたいだなー…とそんなことを思った。