ぜんぶ、しらないふり。






肩を並べて教室に向かいながら、つい数分前に彼に言われたことを思いだす。



――昼休み、生徒会室に来てよ



拒否権はなかった、というより“奪われた”というか。


片岡くんが俺様なのは重々承知している。

言うことを無視して、例えばの話、『お仕置き』とか言ってなにかペナルティを課されるのも嫌だ。


それになにより、この間みたいに簡単に唇を奪われるのは避けたかった。




───ホントは俺に興味あるんじゃない?



…ちがう。


めんどくさいから。
私が片岡くんと関わるのはそれが理由。

そう、それだけだよ。




きらい。うざい。めんどくさい。

───全部、俺だけに向けてみろよ





望み通り、この感情ぜんぶ片岡くんに向けたって、私はきみにうっかり落ちたりはしない。