◇
「…ねえ、もっとそっち歩いてってば」
「正当な理由を言ってくれたらいいよ」
「肩が当たる。歩きにくい。目立つ。これ以上の正当な理由がある?」
「はいぜんぶ却下ー。トモダチってのはアピールしてなんぼだから」
「性悪。クズ。寝起き悪い。顔だけ男」
「言っとけ、冷血女」
学年問わず生徒たちにじろじろ見られるのはもう慣れてしまった。
片岡くんにキスをされた次の日から、彼は意図的に家を出る時間を合わせるようになり、必然と一緒に登校する流れが出来上がっていた。
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