ぜんぶ、しらないふり。




けれど、


「涼風さんさー」

「え」

「嘘は良くないんじゃない?」



彼がそう言った直後。

私の視界が大きく揺れた。





「たしかに俺が提案したけど。でも、友達になるのも、言うこと聞くのも、頷いたのは涼風さんだったよな」

「…、ちょっと、離れて」

「ね。ホントは俺に興味あるんじゃない?」

「…ないから。自意識過剰だよ」

「とか言ってさ。押し付けてこないでって言うわりに おまえ、俺の普通受け入れてんだろーが」



視界に映るのは白い天井と、相変わらず綺麗な片岡くんの顔だ。
背中には柔らかなソファの感触。
手首に伝わる人間の体温。

奪われたのは、自由。




───どうやら私は、この一瞬で片岡くんに押し倒されたみたいだ。