ぜんぶ、しらないふり。





腹黒毒舌クズ野郎のことだから、いつうっかり口を滑らせるかわからない。



ポーカーフェイスを装いながらも内心ものすごくハラハラしていたものの、片岡くんは特に気になるような行動はしなかった。



ただただ愛して面識もない男女が一緒にご飯を食べるだけの時間。


今思い返しても意味が分からない。
そんな中で食べたお弁当の味は、ぜんぜん思いだすことができない。





お昼休みだけじゃない。


移動教室の時、いつもは一人で行動している私をわざわざ待って一緒に行動しようとして来たり、

「今日一緒帰ろ」って、わざわざ私の席に来てそう告げてきたり。



おかげさまで1日中誰かの視線を感じていたし、

放課後、すれ違いざまに先輩と思われる女の人に睨まれたりした。



メイナからは質問攻めにあって、同居している“同い年の息子”が片岡くんだったということがバレてしまった。想定外のことだ。

「恋の始まりだね!」と言われ、「絶対ないから」と食い気味に否定しておいた。