(相変わらず火曜日は人いないなー)
と、そんなことを思いながら、生徒会室の前を通った時。
「──モテてもめんどくせーだけだって」
そんな声が聞こえてきたのだった。
心地よい低温ボイス。誰の声だろう。
周りに誰もいないことをいいことに生徒会室のドアに聞き耳を立てて閉まったのは、ほんの少しの好奇心だった。
数分後にその声の主に迫られることになるなんて分かってたら、絶対そんなことしなかった。
まっすぐ図書室に向かっていたんだ、本当に。
「モテる奴しか言えねえ台詞を軽々しく言うなよなぁ。もうお前が会長やってくれ」
「それは無理、だるい、絶対嫌」
「会長より書記がモテる世界なに?優しくなさすぎる」
「お前は彼女いるから良いだろ。つか俺が会長になったら大変じゃん?仕事しないし」
「自覚してんのかよ。はー、ホント、お前がこんなに悪いコだって知ったら先生泣くぞ」
「騙される方が悪い」



