ぜんぶ、しらないふり。





チカさんはついさっきお風呂に行ったばかりだし、片岡くんのお父さんはまだ仕事から帰ってきてはいない。




「…私の生活を乱さないでよ」

「乱したつもりないけど。俺の普通」

「私にとっては普通じゃないんだってば…!」



2人きりのリビングに響くのは、テレビから聞こえるバラエティ番組の笑い声と、らしくもない自分の声だった。


けれど、片岡くんはそんな私を見ようともせず、テレビを見ながら「んなの知るか」と適当な言葉を放つ。


ムカつく、苛つく、最悪。
腹黒クズめ、この野郎。


こころの中で思い浮かべた単語をぐっと飲みこみ、拳をぎゅっと握り我慢する。



"どうでもいい、興味ない"

何事に対してもそれを基本にしているけれど、今日の片岡くんの行動はどれも不可解で、あまりにも迷惑だった。



どのくらい迷惑だったかと言うと、それは今から振り返っても確認してみることにしよう。